「すまない幸村。負けたのは俺の責任だ。罰は何なりと。」



忘れてたわけじゃない。



そうだ、こいつは、真っ直ぐにしか物を見ないって事を。










アンニュイ アイアンメイデン





結果報告だけなら既に真田から受けていた。
今日は、意を決して罰を受けに来たらしい。

あの日。
俺が倒れたあの日。

別に俺は何も言っていないのだけど。

でも、ならば、戯れに。

「じゃあ嘗めてよ。」










此処は病院の屋上。俺はベンチで一休み。
さっきから申し訳無さそうな顔をしてた真田は、下された罰に眼を丸くしていた。



「じょーだ・・・」



その言葉が完全に意味を成す前に、ゆったりと持ち上げられた自分の右足。
「真田・・・?」

ああ、コレが、この男の怖いところだ。
「すまなかった・・・幸村・・・」



ガラス細工。



ありきたりだけど、其れが一番分かりやすい喩だと想う。

足の甲に口付けたかと想った。
想う頃には、既に足首を舐められていた。

「すまない、幸村・・・」

唯ひれ伏して、謝りながら嘗め続ける。
なんて様だ、これは。



ああ、もう、あほらし・・・



「・・・助けようか?精市」
「え?あ、蓮二・・・。大丈夫。別になんて事は無い」
いつの間に来たのか分からない。けど、俺が憔悴しきってる間に、蓮二はきっと悠々とここに来たのは間違い無い
だけど気丈に。取り繕った。俺は動揺なんてして無い。
「そうか?」
「ああ、だって、コレは、真田が望んでしてる事だ」
「そうか」
「何なら、蓮二もする?左足は開いているよ?」
ふふと笑う。
「そんな事言って、精市。お前、くすぐったがりだろう?」

真田に聴こえないように密やかに交わされた会話は終幕した。

きっと足元のこいつは、蓮二が来た事にさえ気がついていないと想う。
だって、キレイに笑いながら蓮二はきびすを返したのだから。





「大変だ。蓮二は知ってるんだった・・・」
一人ごちて天を仰ぐ。

実は既に、我慢の限界。





ばたばたと靡くシーツの海での秘め事。










「真田、」

つい・・・と、糸を引くその口元を見ながら微笑む。
真田は、少し怯えながら上を、俺を見た。

「蓮二が来てくれたから、もう終わり。でも、コレじゃあお前に対して大した罰に為らないだろうから」
「・・・から・・・?」
「俺が復帰したら、覚悟しておけ」



俺は何も言わなかった。それなのに、一方的に交わされた約束にしがみ付いているのは真田だけなのだ。










そして俺は又何も言っていない。其れなのに、勝手に怯えるのだろう。

でも。

俺が何をするかなんて、そんなの、俺が知っていればいい。


















































20040919