沢山の命を殺す行為。

命を宿さない行為。

死んでいく、俺達の無数の子供。

南と俺は、何も残さずに消えていく。










殺戮の日々










「南はさー、何で俺の中に出さないの?」

ぶはって。飲んでた牛乳を吐き出した南。
わーお、きたない。
「なんですかー?ナメとってあげましょうかー?貴方の噴出したミルクー」

ものすごく色々こめて誘ってみたものの、
「あほが。良いからほれ、そこのティッシュとって。」

かるーく受け流すの。

南って、酷い男だ。

「ねぇ、何で健ちゃんはさ、俺の中に出してくれないの?」
同じ質問をしてみた。
健ちゃんなんて、昔のあだ名。甘えたい時にだけだす、秘密の暗号。

「お前に責任が取れないから。」
きっぱり言い放った。
「わけわかんない」

ねぇ健太郎さん、知ってますか?俺は男の子です。

「出したって、赤ちゃんなんて出来ないのに・・・。」

残りの牛乳を飲んでた南の動きが、ぴくりと止まった。

ああ、俺は、地雷を踏んだ。彼の心の地雷。そして俺の心の地雷。

「ごめん。南。ごめん」

俺達は男同士だから、卵なんて持ってないんだ。



ごめんなさい・・・何も考えずに言葉だけが出て行く。
ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい・・・意味を持ってるの?この言葉の羅列は?
分からないけど何度も言った。

何だこれ、そうか、俺は、女の子にはなりたくないんだ。なのに俺は、子を宿せない自分が酷く出来損ないに思えるんだ。

「キヨ、泣くな、お前が無理に泣かなくて良い。泣くのは、俺だけで、良い」
俺は全く泣いていない。なのに南はそう言った。ああそうか、泣けないから、心が中を壊していくのか。

なかなくていい、だいじょうぶだから。おまえがわるいんじゃない。ただ、おれたちがおとこだった、それだけだ。

呪文みたいな言葉。南が俺にかけてくれる優しい言葉。
俺の前で、ただぼたぼた泣いている南が、酷く美しかった。



「俺達の関係が罪だって言うなら、俺達の、人の形に成れない子供たちを、そうと分かって殺していく事で、いっそもっと罪深くなろうよ。二人で、その罪を抱えよう?」

理屈なんて飛ばして?
子供の恋だって言われても良い。
何も解決なんてして無い。ただ、眼の前の男と、俺自身が、戻れない路を歩いて行こうとしてるだけだ。










「健ちゃん、けん、ちゃ・・・」

がむしゃらなキスをして、俺は南を組み敷いた。

南は其れに答えた。だから南は、俺を抱いた。

「けん ちゃ・・・!」

狂おしい音を立てて、ひゅうと言う呼吸音をさせた。

しがみ付いて離れなかったのは、南のほうだった。

だぽだぽと注がれていく南の精子たちは、何も生み出せない、期待の無い寝床へと侵入していく。

出来てしまえば良いのに。子供が、俺たちを繋げてくれればいいのに

結局、一ミリの期待も無い精子たちを、俺の中で殺していく。

俺から溢れた精子は、俺の腹の上をのた打ち回る。

明日の朝までには、気持ち悪いと言いながら、トイレで、風呂で流されてしまう俺達の精子。

期待なんか出来ないから、期待したく無いから、南は俺に出したがらない。





世界がいつか終わる日まで、俺達は腹の中に出すたびに、期待して泣くのだろう。


俺たちは、人の形に成れない子供たちを、何千、何億と殺すだけの無意味な行為を泣きながら冒すのだ


なんて無理な話だ。


















































20040918