センパイの持ってるもの、何一つもらえない

いつだって、俺より一つ上の、ずっと上から、

俺を牽制するんだ。





O amor que blindfolded





一年前。
意気揚々と挑んで、叩きのめされて、恐怖と悔しさに包まれて立ち上がれなくなった俺に、一番最初に手を伸ばしてくれたのは、ジャッカルセンパイだった。

大丈夫か?って、俺の手を掴んだの、先輩が先なんだ。










一年前に、見知らぬガキがうちのガッコの3強に叩きのめされてた。
完膚なきまでにってーのは、多分、ああゆうのを言うんだろうなぁって、薄らぼんやり観てた。
観てた俺の横には、当たり前の様にジャッカルが居た。

幸村の下した結果に打ち震えて立ち上がることもママならないそいつを、かわいそーって想いながら横を見たら、ジャッカルは居なくなっていた。

俺の眼の前で、俺の知らない奴に手を差し出していたジャッカル。

その手を握った見知らぬそいつ。

ぎりぎりと握り締めた自分の手には、俺の手の温さしか無かった。










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からからから・・んと、ペンが一つ落ちてきた。

頭上近くから降ってきたペンは、偶然を装った必然だったのかもしれない。
「これ、丸井、先輩・・・の・・・?」
ひょいと上からを顔を覗かせたセンパイは、
「お前下に居たんだ、ありがとう、それ俺んだよ。今取りに行くから待ってろ」
そういって微笑んだ。



ぺたんぺたんとゆっくり歩いてくるその音が、怖かった。
そして、丸井センパイの顔が、驚くほど怖かった。
楽しそうに笑うのに、その見に纏うオーラは、一切柔らかくもなかった。

ただ何処までも凍て付いていた。それは、俺を刺し殺すほど。

「せんぱ・・・」
「ダメだよ赤也。」
「・・・え?」
「コレも俺んだ。お前には、ナンもあげねぇ。」
愉悦すら浮かべて、ゆっくりと俺に近づいて、ステンドグラスの光を浴びて、俺の耳元で囁く。
肩に軽く置かれた手が、俺の喉元を狙っているかのよう。





「ブン太ぁ?」
のんびりとした声が上から降ってくる。
少し和らぐ凍て付いたオーラ。
なのに、より一層張り詰める雰囲気。

「ジャッカル!今行くから、待ってろや」
「あ?あぁ。早く来いよ?」



「先輩!」

ぺた

「赤也じゃん。何だ?また悪戯の密談かよ・・・。勘弁しろよ?」
「んでくんだよ・・・」
「怒んなよ、それくらいで。」
丸井センパイの頭をぽんと叩く。バカ!アホ!っていいながらそれに答える。

俺の手からシャーペンを取り上げて、

「じゃあな、赤也、また部活でな」

丸井センパイの艶やかな笑顔

「センパイ・・・」

「じゃあな、赤也」

丸井先輩に引っ張られるように行ってしまうジャッカル先輩

どうして・・・。



一番初めに俺の手を握ったのはジャッカル先輩が先だ。
俺はその手を放してない。
なのに、丸井先輩は俺の好意をジャッカルセンパイの目を覆い隠して見せないようにしてしまう。



「なんだよ・・・」

初めから、コレは俺のものだと。俺の手にあるものをもって行ってしまう先輩。

じゃあ、俺の気持ちはいつ届くんだというのだろうか?
目隠しを取れないことには、恋心だって届きはしない


















































20050806