+ トランキライザー +



「・・・お前、宍戸を宥めて来い。」
「えぇ・・・?!無理ですよ跡部さん・・・!」

無理と言って赦してくれる人ではない。(本当に出来ない事ならそもそも言わない人だという事は知らない)
行けと言ったら行かねば為らない。絶対命令には逆らえない。
なまじっか、尊敬している先輩だから性質が悪い。

「行け」
「・・・はい・・・」

最後の方は、もう、涙目。



「宍戸さん宍戸さん、どうかしましたか・・・?」

おずおずとご機嫌を伺いにきた犬。
「ちっ。跡部の差し金か・・・」
不満気な表情をしたら泣きそうな面をされた。
「宍戸さん宍戸さん、俺、何かしましたか・・・?!」
見下ろしながら上目遣いの犬。
「別に何でもねぇよ」
何となく、こう、行き場と言いようの無い感情をごまかす為に、長太郎の頭をわしわし撫でたら、あわあわしながらされるがままだった。

そのままがしがしと撫で続けて、何となく気分が上昇していく自分が居た。



「アニマルセラピー?」

通りすがりの滝の一言に、はっとしたのは俺だけではない。




20050205