+ 小指の爪 +



「綺麗な爪だね」
姉の爪を見ながら、不二は言った。
「周助にもしてあげようか?」
不二の顔を見ながら、姉が言った。
「ありがとう。でもいいや。長い爪にしたらテニスがし辛いしね。それに・・・」
「それに?」
「この質素な手でも、気に入ってくれる人が居るから、装飾しなくてもいいんだ」

初めから、断ると想っていたのだろう、彼女はふわりと笑うと不二の頭を撫でた。

「あの子はいい男ね?」
「うん」

うん、最高の恋人なんだと、不二は驚くほど綺麗に笑った。




20050418