+ 壊れた時計 +



樺地の家にある蔵は、俺達の秘密基地だった。
ありとあらゆるものを詰め込んで、二人の絶好の隠れ家だった。

そこには時計もあった。
門限を破って、樺地と一緒に居られなく為らないように。
細心の注意をはらっていた。

いつかその時計は時を告げる事をやめ、動く事を放棄し、埃にまみれてしまった。

二人ぼっちで息をしていた証。

人と関わる事を覚え、世界は二人ぼっちではないと知ってしまった俺達。
もう二度と、あの頃には戻れないのだと、久方ぶりに見た時計に、二人で涙を流した。

それでも、握った手は今も変わる事無くつながれたままだ。




20050816