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+ 踏切 +
警笛が鳴り響く。 静かな空間を切り裂く音。 ゆっくりと降りてきた遮断機。 下を向いていた視線を不意に上げると、遮断機の向こう側、見知った愛しい姿があった。 今この場は、自分達以外、他に何も存在しない空間だった。 「××××!!!!」 叫んだ名前は、電車の通過音にかき消された。 駅から遠いこの踏み切りを通過する電車の速度は速く、高速で移動していく電車の窓から見えた彼の姿は、かすかに笑って見えた。 そして・・・ 警笛が止み、辺りに静寂が戻ってきた時には、眼の前に居たはずの彼も、一緒に消えてしまっていた。 アレは、幻だったのだろうか? 自分以外の温もりしかない手を握りながら、今傍に居ない彼を思った。 自分はこれほどまでに、彼に恋焦がれているのだろう。 |