かつん かつんと音が響く

課せられた罰の音

響く断罪の声

懺悔する想いも

全てを君に





13階段





解っていたんだ。
僕の生まれた意味。
君に出会った必然。
覆い隠された真実のウタ。





蝉の声が聴こえる。
人の声が聴こえる。
夏の声が聴こえる。

生まれた時は如何だったのだろう?



透明な水の中。

泡の行く末だけを目で追っていた日々。

「君が外に出れる日は、まもなくだ」



綺麗なものだけを与えられた。
綺麗な心のまま生きてきた。
醜い感情に支配されることも無く。

醜いモノにはしらばっくれて生きてきた

心が何かに揺り動かされる事無く、綺麗に微笑んで。

「終わりの始まりの日が来た」



これが最初で最期なのだろう。
誰も何も言わない。だけどどこかでそう感じる。
保育器の中の出来損ないの僕の欠片達を、その中から出すことも無く。
さよならと。
壊されてしまった。
選ばれたのは僕で、魂の入れ物になれなかった彼らの末路は破壊なのだ。

誰が選ばれたって、世界が変わることはなく、老人達の夢は変わらない。



酷く蒸し暑い日だった。
ここには夏しかない。蝉の鳴き声も、鳥の羽ばたき音も。
夏の匂いしかない。
そして全てを容赦しない陽が、僕を照りつける

これから起きるすべての事を、私はお前を許しはしないと。

じりじりと日が照りつける。
夕暮れまでには陽が高い。
僕は甘んじて極刑を受け入れよう。
いっそ彼に遭うまでに、僕を殺してみるのは如何だい?
僕が遭ったらどのみち彼を破滅させるんだ。
僕が早いか彼が早いか。



アルビノ種のような外見は。
全ては神の意思。神と呼ばれる機関の意思。

堕天の身に天子の名を与えられた僕は、どこに行こうか?



ひゅうるりと僕の髪を撫ぜたのは、
生温い風だった



君にあったのは、そう、必然。
偶然を装ってほくそ笑むのは愚者だけだ。





仕組まれた子供。
君に逢うために生まれて、君と別れるために現れた。

彼の心が綺麗だった。 酷く寂しいその心が、脆い硝子細工の様な彼が・・・
滅ぼさなければならないのだ。
生きる為には、彼を。

迷うことなど無いのだ





なのに・・・





僕は、階段を上って降りてきた。
そして僕は、
階段を下って登るのだ。

13階段。
響くのは絞首台へと向かう音



愛していると

伝えられたら、誰が幸せだっただろう?
僕に出来る叛乱は、君に命を預ける事だけ。
裏切ることを手段に、君を、堕とす事が目的だ

愛していたと

伝える術は何処に在ったのだろう?



初めて見た空も
太陽も
君も

全てが僕を恨むだろう。

そして僕は君の中に居続ける。

自由を手に入れたのだ



13段目の絞首台は、君の手の中










20030423
今朋 獅治

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