ひゅるりと吹く風を、遮るものも無いほどに





砂漠に紅い花




ざりざりとした砂を食んでいた。
何一つに心を揺り動かされることも無く、常に砂を食んでいた。
吹きっ曝しの荒野に、自分を庇ってくれるものなど存在しない。
前を見て歩いていこうとすれば、当然砂が口に入る。

其れすらも如何でも善かった。
砂肝など持ってない自分に、呆れるほど大量に砂が入ったら動けなくなるかもしれない。
積もり積もって、いつかは歩けなくなるほど溜まったら、あるいは・・・。

守られもしなければ、守るものも無いのだ。
誰が何処で行き倒れようが構いはしない。そんなものだ。
自分が何処でのたれ死んでも構いはしない。



目標は何処までも。果てしなくあった。
其れは目的の為の通過点のようなものだった。それでも。
それでも。
本気にはならなかった。
守るモノは何も無い。この手は、自分を守る方法しか知らなかった。
その、自分さえも上手に守れなかった。
其れは、歳が、とかではないのだと思う。
経験の差と、愛情の差だ。

愛されなかったわけではない。
目には見えない陰湿なものがあったとしても、其処から逃げるという選択はいくらでも選べた。
旅と云うなの逃避で、辛さも全てを煙にまいてきた。



吹きっさらしの荒野の中に、花が咲いていた。
棘だけを頼りに懸命に。誰がこんな所に植えたのか?か弱い花は自分を守るように咲いていた。

唯酷く。初めて自分以外を守りたいと思った。

いつしか花は、枯れてしまったが。
其の命は、最期までリンと咲き誇っていた。





















逃げるのはもう、やめた。










20030921
今朋 獅治

禁 無断転載