針の先には餌も無く、
本当の所、曲がっても居ないのだ。
それでは何故釣れたのだろうか・・・?



本当は近づいて欲しかった



後ろには、必ず連れている。
何を言うわけでも無く、ただ、後ろに必ず。
其れはもう、すでに日常の事で、いっそ居ない事の方が非日常で。
だから如何だといわれても困るのだ。独り占めしてるわけではない。
確かにどこかで望んでいた事だ。欲しいと。
何でも与えられて、何一つ儘なら無いビジョンで。
親の功績に胡坐をかき続けて、いつかこの手に其の重責が落ちてくる事を知って。
どす黒い腹の内を自分で嘲って、真っ白に憬れて。



「全てを吸収しろ、真っ白の紙は、何にでもなれる。」

「うす」

と、唯・一言。





だから俺に付いて来いといったわけではない。
エサは何も撒いていない。
ただ、魚が、自分から離そうとしなかったのだ。



俺は、雲の上から、世界と自分を嘲って釣りをしていたのだ。
誰も俺に近づけないと。










だから、本音が如何であれ。

有難うなどと、言うわけも無い。










20031019
今朋 獅治

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