風化しないように、
褪せてしまわない様に。





未来へ繋がる過去の願い。






僕がカメラを手にしたのは大分昔の事だ。
まだ中学に上がる前、父親が与えてくれたのだ。
その時の大事なものを、いつまでも取っておける魔法なんだと、案外ロマンチストの父親が僕に買ってくれた。

その時は大事なものが分からなかった。
だから買ってもらったのが嬉しくて、裕太や姉さん、ありとあらゆるものを其れこそ無意味に取っていたと思う。

少しずつ大人になって、本当に大事なものを選別できるようになってきたと思っていた。
家族の写真は、枚数こそ減ったものの、無くなりはしなかった。
風景写真が増えていく中、部活の写真もちらほらあった。
大切なものや大事なモノは、いつまでもこうやってとっておける。

写真を撮ることを、生涯続けようと思った。


とても偶然だったのだ。

夕焼けを見上げてたたずむ人。



胸を衝く郷愁。そんな言葉がぴったりだと思った。
ためらいも無く撮った写真は、ボクのお気に入りになった。
あの時のあの人は誰だったのだろうか?

わからないまま、僕は考える事を忘れていた。





「あれ、不二もこの空見たんだ」
「え?」

あるとき訪れた僕の大切な人の言葉。
「あの時の空は、何だか凄く綺麗で・吸い込まれそうで、俺ずっと見上げてたんだ。」
あははなんて。

だから。

あの写真にあった、あったかさや、寂しさや。
少し理解できた。

嗚呼。
僕は、無意識のうちに、まだこうして傍に居てくれる存在では無い頃から、彼が大切だったのです。












20031019
今朋 獅治

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