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雷鳴が響く。それでもまだ、雷は遠いと想っていた。 青天の霹靂 言葉が空を切る。 空が高かった。 遮るものも無く。 零れるのは、生温いもの。 其れは、彼の人の見せる涙の中でもとても悲痛に満ちた涙だった。 私には、守るものがある。 其れは、彼にも同じだったはずだ。 何も言わない、彼は、土へ還った。 何も言わない、彼の人は、彼を連れ戻したがった。 禁断の魔法を、その為に会得しようと、一瞬でも思わさせた彼の存在は、違う次元での情であると分かっていても、私を寂しくさせた。 彼の人が、其れを会得してしまったら、私は、彼の人を撃たねばならないのだろうか? 私には守りたいものがある。 其れは、土に還った彼も同じだった。 私は、彼は、彼の人の元で、自分の持てる力を差し出そうと思っていた。 其の彼は、守りたい彼の人よりも、少し偉い地位へ上ってしまったのだ。 其れは、永遠に動かない地位なのだけど。 私は。分からない。でも、少なくとも彼の人は、彼のその、永劫の地位より上を目指しているのだ。 私は、何処まで守れるか分からない己の力を頼りに、彼の人に微力するしかないのだ。 雷鳴が響く。それでもまだ、雷は遠いと想っていた。 彼の人の道には、雷しかない。だから私は、彼を雷から守ろうと。 晴天の下、雷に牙をむく決意をした。 20031213
今朋 獅治 禁 無断転載 |