理路整然と並ぶガードレール。
何処まで行っても、守る為という大義名分を、はがさない。



偽善者の言い分。




「日吉!」
ふいうち。呼ばれた声。
「何だよ、鳳。」
憮然と答える。嫌いとか、好きとかでは、この際無い。
「宍戸さん経由で跡部さんから伝言!」
腹立たしい。
「で?」
「今日ある他校との練習試合の団体戦で、一敗でもしたら、部室に待機。」

・・・

たっぷりの間はあった。
「其れは・・・」
どういうことだ?言葉にしなくても伝わった。
「顔面蒼白の宍戸さんが、怯えながら伝えたって事は、跡部さんは其れは綺麗に微笑んでて、ついでに其れは、今日、樺地はいないからじゃないかな?」
別に、過程を聞きたかったわけでも、その裏側の真相を聞きたかったわけでもない。
ただ。想像しているものを、否定して欲しかっただけだ。

樺地欠乏症による憂さ晴らしという名の拷問。
別名・八つ当たり。

「レギュラーが一人欠けた状態で、無敗で帰ってこいって言うのか・・・アノ先輩は・・・。」
「そうだね。」
「むちゃくちゃだ・・・」
「見に行ってやるって言ってたって言ってたから。」
・・・主語を抜くな・・・。

だれが?

聞かなくたって分かってるけど。

「跡部さん。」
だから答えるな。
「樺地の代わりに出る奴が負けなきゃ善いんだが・・・」
「じゃあ、いっそ忍足さんと向日さんも呼ぶ?」
「え?」
「負けたら、皆でとんずらするんだよ。」
「それは・・・」
流水の如く烈火に怒る(矛盾してる割りに的確な気がするのは気のせいじゃない)跡部先輩と、よく分からないまま、よく分からない使命感だけで其れを抑える忍足先輩と向日先輩の様子が、まるで今起こってる事のように眼前に思い浮かぶ。
「生贄。」
しゃあしゃあと。
「でも・・・」
「明日、跡部さんが来る前に、金色のリボン巻いた樺地を席に用意しとけば多分、有耶無耶になるよ。」
「生贄・・・」
「俺と、伝言に来た宍戸さんを守る為のガードレールだよ。」

強かだ・・・。

「俺は。」
「ついで。」
「あ・そうかよ。」





ふいうち。呼ばれた声。

憮然と答える。嫌いとか、好きとかでは、この際無い。

腹立たしい



好きのベクトル。何処を向いていたって彼らは彼らで。
恋愛対象になった相手が何であれ、其れも如何でも良くて。

まだ、ガードレールを必要と思う相手は、隣にいない。
おいてきぼり。



悔しい・寂しい・こうなったら。
この後すぐに10m分の金色のリボンと、先輩たちを用意してやろうと思う。

暫くは、自分だけガードレールの中にいてやる。

俺は、強かに、生きていく。










20031215
今朋 獅治

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