|
お気に召したのは、あいつだけじゃねぇ one or zero = dead or arive
一番初めに越前に目をつけたのは、確かに奴かもしれない。 それでも、その手を離したのも奴だ。そして、ねめつける様に空を見上げて居たのを、偶然にせよ出会ってしまったの俺なのだ。 悔しいなら、その手を離さなければよかったのだ。強引にでもその手を掴んで、一緒に飛んでしまえばよかったのだ。 俺なら、そうする。けして、放しはしない。 ------------------------------
「あんた、俺に何がしたいの?あのおっきいの居ないのに、あんたは何してんの?」 「樺地は俺のだ。俺がアレを如何しようと、お前には関係ないし、アレが居なくても俺は俺だ。」 「だから?」 「お前が欲しい。そう思った。だからキスをした。」 「俺は、あんたなんか要らない。要らないんだ。」 「俺はお前が欲しい。」 「話を聞かない人だね。」 「お互い様だ。」 ------------------------------
悔しいほど、上手に心に触れられた。 寂しいという感情を、あいつは上手に受けた。 あの人よりも頂上に近いくせに、あの人よりも全てが強いというくせに、酷く寂しがりやだ。 ブラックホールのように飲み込もうとする。 けして、操とか言うものを義理だててるわけではない。 待っててくれとも、待っててやるともいってないのだ。無常にも、それが戒めの様に自分を縛っていても、けして、俺は何一つ、縛られては居ない。 だから、欲しいというなら、あげたとしても、困らない。この全てを、つなげてしまっても、其れは何一つ構わない。 ------------------------------
「お前が手放した手を、俺が握っても文句は無いだろう?」 「お前がその手を差し出して、あいつが其れを握っても、文句は言えないだろう。解っているさ。」 「優等生の模範解答か?俺はそんなものを期待してるわけじゃない。」 「今更だ。今更、待ってろも無いだろう?戻った時、もう一度翳すだけだ。誰かがあいつの手を握っていようとも、もう一度、手を翳すしかないだろう?」 「奪られた方は堪らないな」 「わざわざ電話で宣戦布告するお前がおかしいんだ。」 「フェアじゃないとな。」 ------------------------------
その全ての、細胞の一つすらも全てを。 俺のものにしなければならない。 奴がその手を差し出す日までに、俺は、俺を植えなくてはならない。 一つでも彼を想うニューロンがあれば、彼の手は、また、その手を握ってしまうのだから。 20040309
今朋 獅治 禁 無断転載 |