痛い位の視線を、

濁す事しか出来ないというのに。

俺は、もう、飛べないと云うのに。



fly high and sky high



よく、目が合うようになったのは、レギュラーから外される少し前くらいだったと想う。
そして、其の視線が、射る様な鋭さに変わったのは、外された直後くらいだったと想う。

心地よいものとは、到底思えないものだった。それでも、不快ではないのだから果たして自分は如何したのだろう?

「日吉、何か用?」
なるべく穏便に話しかけたつもりだった。
「何も。」
彼が無愛想なのは、今に始まった事じゃない。そんな事、気にもならない。
「じゃあ、なんでそんなに俺にお前の視線が刺さるんだろう?」
「わかりません」
「日吉・・・」
黙って俯いてしまった彼を、どうこうしようとなんて始めから思ってない。
「失礼します・・・」
そう、歩き出した彼は、聞き取れるかとれないかほどの声で、本当に分からないんだと、泣きそうな顔をして呟いた。

其の姿を見送るしか出来なかった俺は、ただ、ため息をその場に残した。



ねぇ、日吉。出来ればね、俺がまだ飛べるうちに、君の其の視線の正体に気が付いて欲しかったんだ。
自惚れじゃ無ければね、君の視線の意味は、かなり情熱的だと想う。
それでもね、もう、俺は、君と一緒に飛んであげられないんだ。正レギュラーを落ちたときに、其れは、確定してしまったんだ。
俺には、我武者羅に奪還を狙うほどの上昇思考は無かったから、これで善いとさえどこかで思っていたんだ。

跡部は、きっと、そんな俺を許してはくれないだろうけど。
日吉、お前も、俺を許せないかもしれない。
それでも、維持仕切れなかった其の地位から落ちたとき、一緒に風切羽も抜け落ちてしまったから。

自分からしか動けないだろう?日吉、お前は。
既に風切羽が落ちてしまって無い俺には、俺からお前の所にいけないから。お前が気が付いてよ。
そうしたら俺は、こんな役に立たない羽ですら、無様に羽ばたかせてお前を受け入れるよ。










20040214
今朋 獅治

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