あいつの肩越しから見えた世界は、驚くほど眩しかった。
あの人の肩越しから見えた世界は、悔しいほど広かった。



craving for world



「勝手に行っちゃえば?」
そう言ったのは俺の方から。視線はぶつかった儘、どちらも逸らしはしなかった。

きっと、乗り越えられない壁。
なのに、差し伸べられた手。
だけど、突き放された背中。

自分で、動けと。お前の手も足も、全てはお前の意思の下にあるのだと。
軽々と抱きかかえられて。悔しくて。自分にも勝てない。この人にも勝てない。理由は見えてて。涙は見せたくなかった。
あやすように背中を叩く差し伸べやがった手が、突き放しやがった背中が、こんなにも、密着しているというのに。
なんだよ。なんなんだよ。
「お前は、俺に守られて、肩越しから、出来上がった路を観ていたくは無いのだろう」
するりとおろされて、帽子を目深に被り直した。

「勝手に行っちゃえば?」
そういったのは俺の方から。視線はぶつかった儘、どちらも逸らしはしなかった。

俺は、あの人の肩越しから見える世界の住人になる気は無かった。
いつでも、其の肩越しからは、俺の路も見えれば良いと思う。

あの人の作り上げてきた路に、俺は、並行して路を作ってやろうと想う。
あいつが作りやがった路に、俺は、爆弾を仕掛けてやろうと想う。

だからあの人は、何処へなりとも勝手に行けば良いんだ。
俺は其の間に、俺の路を作りやがったあいつと、自分の路を作る方法を教えたあの人に、笑いながら復讐を仕掛けてやるんだ。










20040214
今朋 獅治

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