INORI


君の孤独を救いたくて、少しでも早く咲こうとした華は、より一層彼の孤独を増やしてしまったと、己を嘆いた。
弱いものの護り方を知らない、とても優しい君を想って逝った華は、祈りを遺した。
何時か、自分自身も守れる誰かが彼を孤独から救ってくれる事を…。
君の為に咲いた華は君自らの手で手折られ散った。


君は誰かに壊されてしまう前に、自分の手で大切なものを壊してしまう。そうやって君は今まで
どれだけ多くのものを自分の手で手折ってきたんだい?
どれだけ多く、自分の無力さを呪ってきたんだい?
どれだけ多くの涙を、飲み込んできたんだい?
どれだけ多くの侘びを請うてきたんだい?


仮に此の世に運命なんてものが在るとしたら、其れは何と酷なものなのだろう。
強く儚い道を…君は選んでしまった。
君は弱い自分を隠そうとした。
君は強く在ろうとした。


死んでしまったら何も残らない。魂すらきっと遺せない路を…
夢の終結をミタ時、君は如何するのだろう?
生易しい事じゃない。
君の選んだ夢は


君の声は、誰にも響かず忘却の彼方へと捨て去られてしまうかもしれない。
君の存在は、容すら残らず虚空の彼方へ消滅えてしまうかもしれない。
君の夢は、何も生まず記憶の彼方へ押し遣られてしまうかもしれない。


華の祈りは、時の流れを変え、時空を越えた。
其れはとても優しい祈りであった。
君を想って咲いた華は
君を祈った。


―君に幸在れー










20020720
今朋 獅治

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