響かない音


伝わらない想い


壊れた身体


朽ちていく意識


白濁した視界





Catapult





上昇気流に乗り損ねた想いは、浮上する事を夢見ていた。






++++++++++

「ねぇ海堂。」

「何すか・・・?」

「幸せ?」

「は・・・?」

「うん、だからさぁ、幸せ?海堂は。」

「別に。不幸せだとは感じて無いっすよ。」

「本当?」

「さあ。」



何でこの人は突然こんな事を言ったんだろう・・・?

もともとよく分からない人だとは解ってたけど。

理解不能なのはいつもの事。

無理して笑ってられるのも癪に障る。

質問の意図など判らない。

でも、判ったところで解れるかはまた別次元。

解ろうとはするけどな。





++++++++++

きっとそれはつまらないことなんだと思う。

ほんの些細な事が気に障るだけ。

一人夜の道。家からちょっとの店に買い物に行こうとして、家出て1分。靴が壊れた。

お年玉。バイトも出来ない中学生なんだからと言ったら、そうだっけ?と言われて親と口喧嘩した。

目を合わせて話していたのにすぐそばにいた猫に恋人が目線をずらした。

それこそ本の些細な事だと思う。



一度闇が見えたらそれこそ簡単。墜落決定サヨウナラ。

図体だけが大きくなって、滑走路が足りない心。

どれだけハイスペックなものを抱えてても、決定的なものが無い。

飛べなきゃ意味など無い。

空高く響かすことが出来ない轟音。

だからこそ自分の言いたい事の半分も言えてるか分からなくなって行く。

諦めに似たぼろぼろの身体を引き摺って、飛ぶことも 何もかもを諦めていく

フェイドアウトしていく視界に、映る筈の世界も消えていく。





其れでも久しぶりに会う恋人に心配などさせたくないし、

ちょっとした意地のようなもので軽口をたたいてその場を逃げる。

違う。

逃げようとする。



「俺、気分すっごく後ろ向き〜」

「新年早々何言ってんすか・・・。」

「だってさ海堂、善い事無いんだよ?」

「全く?」

「さあ?」



ふーん・・・。そうっすか。



滅多にあり得ない不意打ちのキスは、些細で不幸せの、大きな憂鬱を取り除くには効果覿面。

データに無い行動だって、上昇気流を掴む為のプロセス。

「あ〜・・・」

「お釣り出る位には幸せになったすか?」

「後輩からお年玉?」

「新年くらい優しくしてやる。・・・っす。」

「感謝感激。おつり、返してあげる。」

「昼間っから・・・スキモノ・・・。」

「年長者としてはね。俺からもお年玉。」

「ばーか。」





必要なのは俺を押し出す力


強制的でも何でも




俺よ

君に送り出されて






飛べ










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あけましておめでとうございます。
新年早々馬鹿。ップル。
ってな感じで今年は甘甘で始まりましたね。きっと今だけさネ(オイオイ)

新年開けて三日目。お気に入りの靴がブツッと切れて激しくショックな獅治にもカタパルト下さい…。



20030104
今朋 獅治

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