白に溺れてしまえば。
それすらも濁って見えるのだ。
穢れを許さない、その色は。





白濁



言葉数が少ない。其れは割り切った。其れをひっくるめた上で、余す事無く愛しいと思っているのだ。
何も仕舞いが、何を仕様が、其の全てを、とうの昔に許容してしまっているのだ。今更、如何こう云いはしない。
それでも、目の前に迫った「卒業」という壁も、何も発さないアレも、俺を追い詰めていくにはなかなかどうして、素晴らしく効果を発揮する。
離れるのは初めてではない。三年前にも一度同じ状況に立たされたのだ。
あの時俺は如何した?一年を、如何送った?



なぁ樺地
なぁ樺地
なぁ樺地



目まぐるしく進む時に、俺は何を置きざって着ただろう?此処まで来るのに、俺は何を落とした?
何も失わず、俺は此処まで来たのだろうか?
重責は解き放たれた。身軽になった肩は、むしろ、寒さすら感じるほどだ。
時が、容赦なく過ぎ去っていく。
悲嘆の声が、校舎を満たしていく。去り行くものを惜しむフリをして、手を離していく。



なぁ樺地
なぁ樺地
なぁ樺地



視界は濁っていく。其れは、とても、白い世界だ。
愛を受け止めきれず、俺の視界は濁っていくのだ。
目隠しをされたような、光しか感知できない感覚。もはや、心を置いて動き出してしまった、時の障害だとしかいえない。
言葉は、無意味に放たれるというのに、其の思いは、通じているのだろうか?
この想いは、お前に浸透しているのだろうか?百万回の愛の言葉を捧げても、百万回のキスを落としてみても、それはあれに何の感慨も与えはしないのだろう。与えられたものを、受け取るだけなのだろう。



なぁ樺地
なぁ樺地
なぁ樺地



ただ一言でいいんだ。
愛してるといわれなくていい。
ただ一言でいいんだ。
絶対にこの手を放さない為に。



穢れを許さない白に焦がれて、俺は、その白すら濁る想いの前に。
ただ、嗚咽を堪える日々を怯えているのだ。










20040324
今朋 獅治

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