俺から触れなきゃ何もしない。其れが付き合う時に決めた約束。
だから俺には我侭も必要。

あんたが欲しいんだ。
いつでもどんなときでも。

其の為の我侭なら、可愛い物でしょう?



我侭



其の日は善いワインが入ったと、
乾先輩がワインと海堂先輩を片手に、部長の家に押しかけてきた。

「いらない。」
「やぁ、越前。お邪魔するよ。」
「やだ。」
どんなに言ったって、乾先輩は俺よりずっとでかいから、ひょいっと肩に担がれてしまう。
むかつく・・・。
ふん、と思って顔だけ上げたら、海堂先輩が赤い顔してふてた顔をしていた。
そんな顔されたってさぁ、俺不可抗力じゃん?
ドウニモナリマセン。

「ねぇ、オニイチャン。オニイチャンの大切な薫チャンが、思いっきりふてくされてますけど?」

「え?参ったな。」
そう言ってこの男は、俺と愛しの薫ちゃんをそれぞれ抱き上げた。
「何するんですか?!先輩・・・!」
「何って?だって、海堂の機嫌を損ねさせたくないし、王子様は下ろしたら行く手の邪魔するしね。だったらふたりを抱き上げたほうが早いでしょ?」
そう、言ってのけたこの人に、俺たち2人は言葉を失った。
っていうか、この人の力は馬鹿げてる。

ああ、でも。海堂先輩は本当は嬉しいみたいで、文句を言いながらも、其の肩にちゃんとしがみ付いていた。
ちなみに俺は頭に(海堂先輩に肩取られたから)



☆★☆

部長の部屋に着いて、漸く俺は其の腕から下ろしてもらえてた。
ああもう、最低。部長は静かに嫉妬するし。
なら堂々と嫉妬すればいいのに。
ってまぁ、そのうち俺捕らえられちゃうしね。
今は我慢してもらったほうがいいのかな?

そんなこんなで、上等らしいワインを持って参上した乾先輩を受け入れる準備は万端だった。
いつの間にワイングラスなんて準備したわけ?あんた・・・。

呆れ顔をしてたら、お前が乾を迎えに行った時だ。と言われた。

うわっ最悪。飲む気満々じゃん。
「なに?可愛い恋人放っておいて、アンタはワインに心奪われるわけ?ああそう。別にいいよ。アンタが現抜かす前に、俺が飲んでやる!」



―暗転―



☆★☆

何処の世界に飲めない酒を一本丸々飲む馬鹿が居る…。

「手塚先輩。いいんすか?越前ほっといて…。」
「構わん。しばらく放っておけ」

そういった俺の視界の先に、潰れきった越前が居る。
放っておけと言ったものの、さすがにそのままと言うわけにも行かず、抱き上げて此方まで連れてきた。

「悪い事したかな?まさか、あそこで越前がワインに嫉妬するとは思わなかったよ。」
「気にするな。其れより折角のワインすまなかったな。こいつが全部飲んでしまって。」
そう越前の頭を撫でながら言うと、「ああ大丈夫。もしもの時のために、もう二本あるから。」
といって、どこかから出してきた。
いったい、乾はこの2本を何処に隠していたというのだろうか…?

越前が寝ている間に、ゆっくりとワインを飲んでいた。

「王子様の機嫌さえ良ければ、穏やかな時間を過ごせるのにな。」
といったら、
「王様が他の物に目をかけなきゃ、王子様はいつでも上機嫌だよ。」
と返されてしまった。
海堂も、こくりと肯く。

案外失礼な2人だ。



もそり。
そんな効果音とともに、越前が目を覚ました。
「気分は悪くないか?」
そう聞けば
「うん。だいじょーぶ。」
と答える。

?!

突然首に絡んできた腕。
乾は海堂の手を引いて、さっさと帰ってしまった。
しかもワインもグラスももう無い。
どうやら、片付けてくれたようだ。
ありがとう。親友。
明日は校庭30周だ・・・。



困った事に。



「ねえ部長。キスしようか?」
そういって押し倒してくる彼に。
今日の俺は、寝れそうに無い。










***

リョ塚リョみたいな感じに仕上がった・・・
リョマさんを原作よりで書くと、立派な攻め様になりますなぁ・・・。

でも、下克上希望ですが、彼の背が部長より大きくなる其の日まで、其れはお預け。

我侭でも部長への気持ちには素直なリョマと、其れを受け止めるぶちょ。
ちゃんと許容範囲ですか??
っていうか、ちゃんとリクに添えてますか??



2002
今朋 獅治

斎 氷櫻様
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