お前が傍にいるだけで、こんなにも幸せ



自転車に乗って



「かばじ・・・もう、起きないと、遅刻する・・・」

じりりと煩い目覚まし時計をどこかへ投げた。
がしゃんと悲鳴を上げたので、また壊したかもしれない。

だけど、あれだ、ほら、なぁ?

「・・・ちこく・・・してもいいや・・・」



起こしておいてアレだが、樺地の傍は恐ろしく落ち着くので、折角覚醒し始めたものも、再び眠りへ落ちてしまう。
もそもそとすりよれば、樺地は無意識に抱きかかえるようにしてくれる。
その大きくて暖かい腕が嬉しくて、抱きつくように眠ってしまった。















「何で、起こしてくれなかったの・・・?けいちゃん・・・」
「起こしたけど、お前が起きなかったんだろう?だから私まで寝てしまったんだ。」

二人きりのときくらい、昔みたいに呼んで欲しいと願ったのはいつだったか・・・。
樺地は律儀にその願いをかなえてくれている。

「それは、いいわけにならない。」

昔みたいに呼んでくれるし、きっちり反論もするから、

「だけど先にお前が起きれば、目覚ましが壊れることも、遅刻する事も無かった。」

屁理屈で応戦。

「そうだね・・・けいちゃんはそういう人だもんね。わかった・・・」

「昔からそうだろ?今更分かったのか?」

「違うよ。次の日に学校がある日は、けいちゃんの家に泊まらない。そうしたら、目覚ましで俺が起きる前に、けいちゃんが目覚まし止めて、あまつさえ壊して、更に二人で遅刻する事、無くなる。」

うん、そうすればいいんだ。なんて、平気な声で言うから、

「そんな事したらお前、」
「え?」
「お前が私にキスをするまで、眼なんか覚まさないからな。いつもより、ずっと早く起きて私を迎えに来させてやる・・・」



「そっちの方が、遅刻するよりずっといい。」





予想外、予想外!
最高だよ、さすが私の樺地だ!

「あははは!じゃあ明日から決行な!それで、金・土は家に泊まるんだぞ?」

樺地にしがみ付きながらそういえば、
「はいはい、いいから、しっかりしがみ付いてて」

自転車が、さっきよりずっと早い速度になった。


















































20041001