ほら、来いよ。
気紛れな口調も、今は本物に変えるから・・・










手を引かれて走りこんだトイレ。
狭い空間に二人ぼっち。
切り離された空間。

今、何かが出てきても、二人を離す事等出来はしない



「やぎゅ・・・」
「比呂士です。こんな時なのに、名前を呼んでは下さらないのですか?」

触れるかどうかのぎりぎりの距離の口唇。
皮膚に、粘膜に、柔らかく染み込む吐息。

「比呂士・・・」

耐え切れなくて呼ぶ名前。
応える様に響く自分の名前

「雅治さん・・・今は、私だけを感じていなさい」



は ぁ



もう、上手く、しゃべれない。

言われるままに、与えられる感覚に身を任す。



やわやわと撫でられ昂ぶって行く自分。
月明かりで必要以上にいやらしく滑っている自分の下腹部。

月明かりに、ふわりと此方に微笑む比呂士。



嗚 呼



この男は、自分以上の詐欺師ではないのだろうか?

我慢なんて、出来るわけが無い。
どこにも、する必要なんて無い。



「比呂士の、全てを、俺に、頂戴・・・?」





若さゆえの衝動ではない。
コレは、愛しさ故の熱情だ。





絡みつくもの全て。
飲み込んでしまえば良い。

命を宿せない自分に、全て出してくれればいい。
貪欲に、全てを飲み込めるのだから。





疲れきって眠ってしまえば。
明日目覚める時は、比呂士の腕の中、包まれてると錯覚して覚醒出来るのだろう。









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20040802 0:00