小さな地球が回るほど 優しさが身に付くよ

もう一度あなたを抱き締めたい できるだけそっと











When someone's wish is realized.






羽根の残骸すらも、太陽が溶かしてあげれば良い












「やぁ、よく来てくれたね、蓮二、真田。」

まだ陽の高い時間に、二人は連れ添って俺の病室へ赴いた。

とてもキレイな花束を持った蓮二が、「やあ、精市」と、入ってきた。
彼は想うよりも良く花が似合う。



「ありがとう、花」
にこやかに言えば、
「こいつを水に注しにいくついでに、他の花たちも水を入れ替えてくる」
と、何を言わずとも、蓮二は病室を後にした。
彼はきっと、どんなに早くても十分は帰ってこないだろうと想う。
たとえ、其れがどんなに簡単な仕事だとしても、だ。





「蓮二は、本当に周りによく気の着くいい奴だね」
「ああ、そうだな。」
「そう、だけど真田、お前は俺のことだけを見すぎだ。俺はお前の神様になんてなりたくない。」
「ゆ きむ ら・・・?」
何を突然?
そんな顔をしながら、完全に動揺し始めている真田を真っ直ぐに捉える。
ベッドが軋む音を立てる前に問い詰めていく。

「お前が全国に行くのは、俺のためだったのか?そんな奴に、皇帝の名も副部長の名も相応しくない」
「しかし!」
「俺達は、俺達の為に行くんだ。受け継いだ誇りは、全国覇者という、そんな名前だけの軽いものではない。」

威圧感なんてもの、俺には通用しない。怯んだ相手に容赦はしない。

「お前はもっと周りを見ろ。お前の理不尽に耐えた仲間を見ろ。それでもお前に文句一つ言わないのは何故か?」
「それは・・・」
「皆、哀れなお前に付き合ってやっていたからだ。自分たちの誇りを犠牲にして尚、お前の夢物語に付き合っていたんだ。」

だから俺は、あの立海で、部長をやっているのだ。


「よかったな、お前の夢が、あいつらの目標の通過点上に辛うじて乗っかっていて。」



「お前が今まで見ていたものは、砂上の上に築いた、夢だ。」

反論の間も赦さない、皇帝に言及できるのは、神だけなのかもしれない。

「もう、夢を見るな。夢は見るものじゃない。ましてや、お前の夢は次元が違う。俺はお前らの勝ち負けなんて知らない。傷がつくのは俺じゃない。お前たちのプライドにだ。」

「見据えるべきものは目標だ。俺達は俺達の強さを誇る為に、勝ち続けるんだ。」

だったらお前は、俺に反論が出来るようにならなければ為らない。其れが、あいつの願いでもある。










「精市、弦一郎、入るぞ?」
少し躊躇した声が外から中に入ってきた。
「ずいぶん綺麗に生けたね?すごいな、蓮二は」
下を向いた弦一郎を見やる事もせず、蓮二の方に視線を向けた。

少し悲しい顔をしながらも、
「ああ、ありがとう」
と、礼を述べた蓮二の、願っていた事はこれで叶った。

後は、俺がテニスが出来るまで回復すればいいのだ。




「今日も暑いな」
窓を見ながらぽつりと言葉。





羽根が一枚でも残っていたら、イカロスはきっと希望を持ってしまうから。
唯の一枚も残さず、全てを溶かしてしまえば善い。

もう二度と、余計な夢など見ないように。

羽根など作らなくても、彼は目標に向かっていけるのだから。





小さな地球の中に。
優しい人は、見つけずらくても、何処にだって居る。

嗚呼。本当は、全ての人の願いが叶う事だって、あるのだ。


















































+--back end

20040918