初めてあったときと同じ。

俺は、今もあそこに、一人隠れる。










れの歌




けいごくん、あのね、俺を見つけてくれて、ありがとう















「あとべ、さん・・・?」
「なぁ樺地・・・どうしたら、昔みたいに、お前と一緒に居られんのかなぁ・・・」
「・・・?!」
「お前を見つけたあの日みたいに、俺がお前の隠れてた茂みを見つけられたらいいのにな・・・」





苦しませたくないから、傷つけたくないから、もう二度と、悲しい思いをしたくないから。

なのに俺は、何をした?

どうして、眼の前で、あの日と変わらず、空の青は歪んでいるのだろうか?





「 け い ご  く ん 」
「かばじ?」
「どうして、泣くの・・・?」
「か、ばじ・・・?」

「ここにいたら、誰に泣き顔見せないで済むよ?」
「あ・・・ああ・・・」
「ここにいたら、おれ、ずっとけいごくんをまもれるよ?」















唐突に、小さな頃に戻ったような樺地に驚いた。
何のためらいもせず、狭い茂みに二人隠れていたあの頃と変わらぬように、俺を守るように抱きしめる樺地を、俺は如何して良いのか分からなかった。

「かばじ、お前、俺を何から守ってくれるんだ?ここには、俺たちを傷つけるものなんて、あったのか?」
ここが何処を示すのか、そして、全ての事が。まだ俺には分からない。分からないから、その手がかりを手探った。

「だっ て、けい ご くん、おれ、こんなに 棘 だらけで 一緒に居たら 傷つけて しまうよ?」
「それは、いつから?いつから、どうしてお前、そんなに棘だらけになったんだ・・・?」

「この茂み は けいごくんんが 幼稚舎 に 居なくなってから 気がついたら 俺 を棘のついたツタが守ってるよ・・・?」











やっと、やっと合点が行った。





全ては俺のためで、そして、全ては幼い樺地が樺地自身を守るためだったのだと。

空恐ろしいほどの時間をかけて、やっと、樺地の愛の深さも、そして、幼い俺の残酷さも知ったのだ。










「樺地、樺地・・・大丈夫だ。もう、大丈夫だから。お前、今まで、一人で頑張ってきたんだろう?ごめんな?お前を見つけてやれなくて・・・だから、もう、いいよ。」

「もう、いいの・・・?」

「ああ、ああ。お前の棘で傷がついても、俺は、其れすら嬉しいんだ。だから、もう、棘から俺を守らなくていいから・・。そのツタを、俺が取ってやるから・・・もう、いいんだ、樺地」

「ありがとう けいご くん」



にこ、っと笑って俺を抱きしめたまま、樺地は一瞬、気を失っていた。


















































気がついたとき、跡部さんが涙を零しながら笑っていました。

「みつけた。もう、おまえを、放せるわけが無い」





棘のついたツタの上から、あの人は綺麗な笑顔で俺を抱きしめてくれました。
俺に絡まるツタに咲いた花は、棘に傷つけられていくあの人の血で、一層綺麗な紅い花を咲かせていました。
そして、その滴る血を浴びた棘は、全てが花へと変化していきました。





置いていかれてしまった悲しみから自分を守るために存在した茂みも

過去の思い出に縛られたツタも

もう誰かに触れられて悲しくならないようにあった棘も



いつか、種を植え付けた貴方が、全て排除してくれてゆくのです。

茂みに隠れていた幼い自分に惜別を。

跡部さんは、そして全てを知って、そして傷付く事も恐れることなく。





ただ、泣きながら、それでも惜しみない愛と、柔らかで温かな笑顔を向け続けてくれるのです。










俺の愛した、太陽の光と、空の青が。



俺が憎んだ、太陽の光と、空の青が。



俺が離せない、太陽の光と、空の青は。

















俺を離せない、太陽の光と、空の青に。


















































+--back end

20041215